海に生息する見えない生き物を解明する
目には見えない海洋の生物多様性の規模はどのくらいなのか?
海洋微生物多様性はどう構成されているのか?
人間活動がもたらした地球環境の変化による影響は?
なぜ守らなければならないのか?
これは間違いなくタラ号の主たる大航海の一つで、4年近くにわたり、さまざまな研究所や専門分野の科学者たちが一丸となって調査に取り組み、見事な科学的発見の成果を成し遂げました。
私たちの船は、海中を漂う微小な生物であるプランクトンの研究を目的に、地球上のほぼすべての海を航海しました。
ウイルス、細菌、藻類、プランクトンなど、収集・分析されたサンプル数は約35,000に達しました。
これは、海洋生態系の遺伝子配列解析調査としては過去最大規模のもので、これまで知られていなかった微生物の多くの遺伝子が明らかになりました。
この巨大プロジェクトから、2015年5月、権威ある科学雑誌「サイエンス」誌に5つの論文が掲載され、かつてない評価を得ました。目に見えない海の世界の科学を大きく前進させるものでした。
私たちの知らなかった事実
新しい世界
地球上の200カ所以上、水深1000メートルまでのプランクトンを採取することで海洋微生物の謎を明らかにしました。既知の海洋DNAウイルスの種類を100倍以上に増やし、10万種の単細胞植物プランクトンを発見し、1億5千万種類以上の遺伝子を解明しました。
世界のプラスチック汚染
非常に網目の細かいフィルターで、南極から北極まで、あらゆる海域で小さなプラスチックのかけらも採取しました。
これらは「マイクロプラスチック」と呼ばれ、主にポリプロピレンやポリエチレンが細かくなったもので、濃度の差はあれ、ほぼすべての海面に存在しています。
2010年、この事実を知り私たちは愕然としました。
環境を左右する温度
2015年に「サイエンス」誌で発表された発見のひとつは、このミクロの生物多様性にとって温度がいかに重要であるかを証明するものでした。
有機物の循環など多くの生命活動を担うバクテリアの生態系の構造は、わずか0.1℃以内の範囲の温度変化に左右されることが分かっています。
このことは、パリ協定の本質的な重要性、特に今日それを遵守することの重要性を強調しています。